高校の部活動は、演劇部か放送部に入らないとダメですか?
これに類する質問を頂戴することがあります。
プロの声優を志すのであれば、部活動も演技かナレーションを実施できる環境に身を置くべきなのか、という疑問なのだと思います。
この質問に対する回答はいつも同じです。
声優になるために有利な部活はない!?
プロの声優になるために、演劇部や放送部を選んだ方が良いのかという質問への回答は、
そんなことありません。
と、返答しております。
ということで、学校生活の中であなたが演劇部や放送部に入りたいのであれば、全く問題ありませんが、他にやってみたい活動があるのでしたら、それを優先すべきと考えます。
おそらくプロの声優になりたい思いから、早い内に表現の練習ができる環境に身を置くことが、その後に有利に働くのではないかとの思惑より生じた疑問なのだと思いますが、正直に申し上げれば、それを選択することで有利に働く可能性など極めて少ないでしょうね。
本物の指導者に師事できれば、話は別だが・・・
と申しますのも、その部活動内にて指導要綱が確立され、演技指導や表現指導が適切な先生の下で教育を受けられる環境が無い場合が一般的のはずです。
結果、同好会レベルの活動になる可能性は高く、基本を身に着けながら「癖」も身に着けてしまうリスクは、どうしても生じてしまうでしょう。
【関連記事はこちら】
滑舌の練習は独学でやらない方が良いですか!?
このことより、意図してこれらの部活に入る理由にはならない、というのが回答になります。
演劇部に入りたいというあなたへ
私は演劇部に入りたいのですが・・・止めた方がいいですか?
どうぞ、演劇部に入ってください。
・・・言っていることが矛盾していないかと疑念を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
順を追って説明しますね。
声優になるために、有利な部活はあるのか?
プロの声優になるために有利な部活はありますか?
冒頭の質問を言い換えれば、この様になるでしょう。
そして、その答えは「有利になる部活など特になく、本人が望む活動を実施すべき」となります。
ですので、演劇部や放送部に入りたいのであれば、私は希望通りに活動すべきだと考えます。
発声の癖、演技の癖が付くリスクはありますが・・・
「癖」が付くリスクがあるって言ったじゃないですか!?
はい、言いました。
指導者の下で練習ができないのであれば、このリスクは拭い去れないのは事実です。
じゃあ、やっぱり入らない方が良いってことじゃないんですか?
癖がつくかもしれないって不安だけを見れば・・・ね。
実際、高校で演劇部出身だった人が卒業後に声優学校に入学した後、高校でやってきた練習により生じた癖を指摘され、後悔を口にしたケースがありました。
高校生活でやってきたことは無駄だったのか・・・?
と意気消沈してしまったのですね。
自分が信じて活動してきた内容を「指摘」されれば、ショックを受けるのは致し方ないことかもしれません。
部活動の経験は何にも代えがたい!
でもね、前向きに考えてほしいのですよ。
高校時代に演劇部や放送部でした、という「経験」ができたわけなんですから。
この時期に経験した「思い」だけは、将来どれだけ望んでも手に入れることは出来ません。
それは大変貴重で、何にも代えがたい経験になります。
そして、その経験があるからこそ表現できる世界があるはずです。
プロの声優になりたいなら、前向きに考えよう
ですので、こう考えて頂けませんか?
部活動で得ることは、表現のための練習方法ではなく、その時でしか得られない様々な経験を学ぶことにある・・・と。
そして声優学校では気持ちを新たにし、プロの声優になるための「練習方法」を1から学んでゆくのだと!
学校で練習してきた事との違いが生じる場合もあるでしょう。
その際、今までやってきた事に「焦燥感」を感じるのではなく、「これがプロの声優になるための練習方法か!」と前向きに捉えましょうよ!
自分の癖に気が付かせてくれたことに感謝し、その都度修正に努めていけば良いじゃないですか!?
何事も前向きに、絶対プロの声優になってやる!との思いで頑張り続ければ、夢が実現することに不思議ありませんよね?
経験を蓄えるのが表現者の仕事
ですから、演劇部や放送部にいたことが無駄だったとは絶対に思わないでください。
人生に無駄なことなど何もない!
と、私は信じたいです。
その後、あなたがプロの声優になった時、演劇部や放送部の高校生役がオファーされたらガッツポーズしましょうよ。
やっぱりお芝居ってね、その役と同じ経験をした人の方が説得力があるのは事実なんですよ。
だから、学生時代にはいろいろな経験をすることがプロの声優になるための準備をしていることになりますよ。
そういう意味で言えば、好奇心旺盛でフットワークが軽い方が「有利」なのかもしれませんね!