ヘンな癖があると言われて・・・。
声優学校で癖があるとの指摘を受け子からの相談です。
で、私自身も確認させていただいたのですが、確かに指摘通りの癖がありました。
プロの声優を目指すのであれば、その癖は直しておくべきと回答させて戴いた次第です。
そう、それこそ趣旨を誤解されないように、丁寧に説明したわけです。
だってさ。
この癖を直すという行為を、まるっきり勘違いしている人って多いのですもの・・・。
声優初心者のありがちな癖
声優初心者にありがちな癖と言っても、それこそイロイロあります。
ただまぁ、滑舌に準ずる50音の発声が弱い場合は癖以前の問題であるとご理解ください。
例えて挙げるなら、
- 長音
- 濁音
- 鼻濁音
- 半濁音
- 破裂音
- 拗音
これらが弱点になっている人は、徹底的な反復練習をするように努めましょうね。
主に発声法に難がある癖
発声のやり方に癖がついている代表的な内容として、
- ヘッドパンチ
- 語尾の息混じり
- しゃくり
などがあります。
もし、これらの癖を持っているというのでしたら、ボイストレーニングの強化が必要かもしれません。
尚、普段の会話でこれらの癖が出ないのに、いざ表現をすると癖が出るというのであれば答えは単純です。
ブレス時における吸気量が多すぎる。
これを疑ってください。
あなたは会話をする際、大きく息を吸ってから話し始めますか?
普通の表現を目指しているのに、水泳の息継ぎのようなブレスをするっておかしいと思いませんか?
お芝居を、発声訓練と同じに考えられたら困ります。
その意味を理解しましょうね。
泥沼にはまりやすい語り癖
正直に言えば、新人声優たちにも見られる癖として、
- 節・調子読み(紋切り型)
- リズム読み
- 助詞上げ読み
- etc...
などがあります。
この様な状況に陥る理由として多いのが、台本を歌の歌詞かの様に捉えているケースです。
端的に言えば、日本語の意味を理解せず「音」として発声しているからなのです。
聞き手を無視した「発声」を芝居と言われても意味がないことは、何となく理解していただけますでしょうか。
よろしければ、こちらも参考にしてください。
【参考記事はこちら】
滑舌不良は歯並びが原因じゃない!?声優初心者が陥りやすい滑舌不良の罠
癖とは何かを考えよう
さて、ちょっと考えてほしいことがあります。
なぜ、癖は嫌われるのでしょうか?
この質問を声優初心者や新人声優にすると、大抵こんな回答になるわけです。
それは、やってはいけない行為だからです!
と。
良い機会なので、はっきり言っておきますね。
それじゃ、まるで理解できてません!
癖が嫌われる理由
そもそも、癖という行為が嫌われる最大の理由は、しつこくて悪目立ちするからです。
同じ表現手法を何度も何度も繰り返されれば、たとえ素人でも癖がある声優だなぁと認識されてしまうでしょう。
というより、下手だなぁと思われているでしょうね。
そういう意味で言えば、素人の耳を馬鹿にすべきではないというのは事実です。
専門用語や手法は理解せずとも、上手か下手かのジャッジは誰でも出来ますものね。
でさ。
癖が嫌われる理由を、ちょっとわかりやすくするために例え話をしましょうか。
調味料
味に奥行きが出たり、まろやかになったり、甘味を感じさせたり、ピリ辛を演出したり・・・。
お料理を美味しくするための材料ですよね。
そんな料理を引き立てる調味料ですが、もっと美味しくしたいからと言って、ドバドバ分量を増やしたらどうなるか、お分かりいただけると思います。
調味料の利用は、適量だからこそ素材を引き立てるわけじゃないですか。
別段、難しい話ではありませんよねぇ。
さて、この例え話に隠された本当の意味を、理解できましたか!?
癖を直す意味を理解しよう
- 指摘された癖を直す
- 指摘された癖を無くす
全く異なった対応であることは、お分かりいただけますでしょうか?
上記に書いた癖と言われる行為。
プロの声優も利用している技法です。
だからなのか、稀にこんな声が聞こえてくるわけでです。
彼らは、有名声優だから癖も味になるんだ!
と。
愚かな者は、もっと辛辣な言葉を投げかけるわけですが、呆れてものも言えなくなります。
プロの声優だからこそ、技法も使いこなす
必要なところで、最適の技術をチラリと魅せる
だから、トッププロなのです。
癖と言われる技術を使いこなすから、プロの声優なのですね。
素材の味を引き出すことができるから、一流のシェフなのでしょう?
調味料も使わない素材だけを提供するお店で良いなら、料理人なんて必要ありませんものね。
お分かりいただけましたか?
癖を無くせば、1流の声優になれるわけがありません。
癖と呼ばれる技法すらも使いこなす。
これが、プロの声優です。
あなたが目指したのは、癖のない代わりがいくらでもいる声優じゃありませんよね?
あなたが憧れた声優になるために、精一杯がんばりましょうねぇ!!