声優オーディション時に、誰が面接をするのかという話は以前にさせていただきました。
【参考記事はこちら】
審査員は誰だ!?声優事務所の所属・入所オーディション担当について
その面接時の話なども、私の方でさせていただいた経緯はあるわけですが、私よりも豊富な経験を持つスカウトマネージャ(人材発掘担当)の話も興味はありませんか?
今回は、私が信頼するスカウトマネージャに、面接時のお話を記事にしていただきました。
私自身、へぇ・・・という事を書いてくれましたよ!
声優スカウトマネージャの面接よもやま話
オーディションの時に避けて通れないのは面接。
面接に絶対の正解はないけど、採用する事務所側がどう思っているかは知りたいところよね。
というわけで、ここでは実際に面接であった話を紹介するわね。
1.志望動機は『自分探し』
面接で聞かれることのトップ10を挙げるとしたら間違いなくランクインするのが、『声優を志望する理由(or目指したきっかけ)』。
今まで面接した人のおよそ98%はキチンとした志望動機を語ってくれた。
子供の頃に好きだったアニメの影響で、っていうのが一番多いけど、それだって立派な理由。別に何の問題もないし、人間、最初のきっかけって言ったらそんなもの。
三つ子の魂百までも、よ。
でも体感的に、2%くらいの人がトンデモ理由をペロッと言っちゃうのよね。
面接官が絶句した理由
アタシが今まで経験した中で一番のトンデモ理由は『自分探し』というもの。
なりたいものがなかったので取り敢えず専門学校に通ってみた、と言われたときは、思わず絶句したわ。
だって、いわば就職試験よ?
「キミはどうして我が社に入社したいのかね?」
と尋ねられているのとほぼ同じ。それなのに答えが
「えーっと、自分探し?」(しかも疑問形)
って言われたら、呼吸が止まっても仕方ないと思わない?
アタシの頭のなかで岩崎良美さんの「タッチ」が流れたけど、責められないでしょ?
アナタが採用する側だったら、こんな答えの受験者を採用するかしら?
2.笑顔
オーディションでは必ず一人一人面接するわけじゃない。
ましてや専門学校のように3桁の受験生がいたりすると、2次面接などでも集団オーディションになる場合がある。
集団オーディションでは何人か一緒に入室するけど、演技をしたり質問に答えたりするのはひとりずつ。
誰かがしゃべっている間、それ以外の人は黙って待つしかない。
実はこの時、審査側が2人以上いたら、答えて「いない」人を見ている可能性があるわ。
っていうか、アタシなら確実にそうする。
面接官が見ていること
とある集団オーディションのときも、アタシはそうやって、喋って「いない」人を観察していたの。
その中で一人、とてもニコニコして話を聞いている受験者がいたのね。
笑顔って、大事。
それは本当だし鉄則。
某ファストフード店のメニューに載っているくらいに高い商品価値がある。
……誰だって仏頂面よりは笑顔で応対してくれる方がいいものね。
でも程度問題ね
ってその時感じたわ。
何故ならその受験者は、オーディションの最初から最後まで、ずーっと、笑顔だったの。
笑顔が途切れたのは課題の演技をした時くらい。
またその人の笑顔は、はっきり、くっきり、それこそ「いらっしゃいませ!」と言わんばかりの眩い笑顔。
やってみると判ると思うけど、そんな笑顔をずっと維持し続けるのは大変なことよ?
でも、そんな笑顔を続けられると人間、疑心暗鬼になるのよね。
なぜなら笑顔って、感情の発露よね?
面白いこと、楽しいこと、嬉しいことがあるから、人は笑顔になる。
逆を言えば、そうではない時の笑顔は作り物なの。
それを人間は経験から学んでいるわけ。だから本能的に、ああこれは作り笑いなんだなと感じてしまう。
おかげで最初に見たときは好ましいと思えた笑顔が、そのグループの審査が終わる頃にはお面のように感じてしまったわ。
多分、本人にそんなつもりはないのだろうけど、緊張で笑顔以外の顔を忘れたとかアルバイトの条件反射とか、それとも笑顔は無敵と信じ込み過ぎたのかも。
何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。
オーディションの面接で笑顔を見せたいのなら、本当に面白いと思った時に「破顔」するので十分。そうすれば緊張もほぐれるだろうし、一石二鳥よ。
3.下調べ
高校や大学を受験するとき、アナタは「滑り止め」って受けなかった?
中にはもちろん、本命1校しか受けません!って硬派な人もいたかもしれないけれど、人生がかかった受験なら、そしてそれを許されるシステムなら、誰だって当然、二次志望、三次志望の学校を受験するわよね。
専門学校が開く合同オーディションはまさにその縮図。
本命1社、滑り止めは時間の許す限り回る。
これは誰も責められないし、悪い事では何もない。
でもね。
面接で明らかに「滑り止め」で来ているなと事務所側に感じ取らせてしまったら、将来的に気まずい思いをするかもしれないわよね。
その「滑り止め受験」か否かの判断の指標は「下調べ」。
スカウトマネージャからのアドバイス
超大手事務所なら下調べの必要もないだろうけれど、「滑り止め」で受ける事務所のことは、何故かみんな、手を抜くのよ。
丸暗記をしろとまでは言わないけれど、せめて受験する事務所の所属声優を一人くらいは覚えておきましょうよ。対応が違うわよ?
「ウチの事務所を知っていましたか?」
「いいえ、全然」
嘘のような本当の回答よ。悪気もためらいの間も気後れも、全く、全て、一切、ナッシング。
ここまで清々しいと、色々な意味で印象には残るわね。
採用者リストに残るか残らないかはその後の質疑応答次第なわけだけれど、面接開始時点の点数を0点とするなら、マイナスに傾くことだけは確かね。
短い時間の質疑応答でその人の人となりを十分に知ることはなかなか難しい。
でも採用する側だって同じ人間だから、将来一緒に仕事をしてくれるのなら、相手には誠実さを望むわ。
だから無理に良い子を装ったり、媚びへつらう必要はないの。ただ等身大でありのままのアナタを教えてくれる方がいいのよ。
ただし、礼儀は忘れずに、ね?